Shroud of the Avatarのストーリーについて

マップや地名など少しずつ分かってきたので、今までのストーリーの紹介をこのページにまとめました。
Ultimaから引き継いだ3つの原理(愛・真実・勇気)が序盤のストーリー展開の重要な要素になるようです。
エルフ、コボルド、神話生物といった異種族と種族間の対立、人間同士の猜疑、失われた古代文明、はたまた謎のメッセージを発し続ける巨大人工建造物"オラクル"など、お得意のファンタジー世界を舞台に重厚なストーリーが期待出来そう。
またゲートから現れた異種族や古代文明の存在等、SFめいた要素も見逃せません。

Story Sneak Peek #1


"今や暗黒の時代を知るものは少なく、ましてや古の時代を語れる者など居はしまい。大災害から400年、世界は復興へ向けて歩みつつあるが、失われたものはあまりに大きかった…"
――アラベラ

さて、一体どこから話を始めたものか…。
世界の再生という節目の時代を生きるに当たって、まず、先の失われた時代について話すことにしよう。
今の世界にも旧時代の断片はそこかしこにある。
丘陵の村落の付近に遺跡があるだろう。白い石膏と大理石で造られたその建物には、今も栄光の時代の面影を見ることが出来る。
そして壁に刻まれた古の文字は我々の使う言語と一部は似通っているように思えるが、その内容を読み解けるほどの互換性はないようだ。

つまるところ、古の時代が我々に語ってくれることは実に少なく、
我々は神話や伝説の類いとしてそれらの事柄を知るに過ぎない。

400年前の大災害が起こった時、空は焼け付き、大地は裂け、寒さと餓えに人々は苦しんだ。
だが、そんな中でも生き延びた人々がいた。

石に刻まれた古の記憶から分かることはただそれだけだ。

世界の復興に当たり、偉業を為した人々のことを知っているか?
彼らの行動力は、我々の想像を遙かに超えるものだったそうだ。
彼らが遺した大いなるモニュメントを見てみるがいい。それが彼らの偉大さを物語ってくれるだろう。

彼らの子孫についても話すことにしよう。

混乱の時代に戦争は付きもので、大災害後の荒廃した都市間でも戦争が起こっていた。
その混乱の折に新しい魔法が発明され、戦争屋はこぞってこの力を求めた。
そしてそこへ起こった新種のモンスターの襲来。この世界に忍び寄る異変を予感させるには十分過ぎる出来事だろう。
モンスター襲来の目的は一体何なのだろうか。彼らの行動は永遠の紛争を望んでいるようにも思える。まるで永劫続く混沌を望むかのような…。

そして偉大なる彼らの子孫は立ち上がった。
今こそ人々の力を合わせ、戦争やソーサラーの手から自らを守らねばならない。
彼らは都市間同盟を結び、脅威に対抗しはじめたのだ。

そしてその時代は続き、今、我々はその最中にいるというわけだ。
平和はまだ遠い先の話になりそうだ。我々がその礎とならねばならないくらいにはな。
そう、あの石膏と大理石の遺跡の時代をもう一度築く、その始まりの過程に我々は今居るのだ。

旅人よ、過去から学べることは今はこれくらいだ。
では最後にもう一つ。

じき、世界は大いなる力によって導かれ、次なる世代へ移り変わってゆくだろう。

これは神話の中の一説だ。
旅人よ、それがどうも、今こそがその移り変わりが起こる時らしいのだよ。

旅人よ。人々がお前を訝しむ理由がこれで少しは分かっただろう。

Story Sneak Peek #2



"大災害より4世紀後、亡き月のサークルからその者は現れる。再び燃えさかる岩を降らせ海を焼き、世界を統治するだろう。"

-不吉なる予言より

旅人よ。
私の名はアラベラ。お前を捜すよう使わされた者だ。
巷では予言の件についてお前のことを噂する者も出てきている。
もし本当にそうなら、随分とやっかいな運命を背負い込んだものだが…


お前が異世界から来た者だということはすでに知っている。
そう、地球から時間と空間を越えてこの地へやってきた。ロード・ブリティッシュもそうだったな。
陛下も都合がつけばぜひ会いたいとおっしゃっていたぞ。

お前はやがて予言に示された運命を歩むことになるだろう。
実はこのニューブリタニアには、お前以外にも地球から来た者は多い。
予言では徳は廃れ世界の秩序は失われるとあるが、全くその通りになってしまった。

旅人よ、よく覚えておくがいい。
予言はお前にとっての道標になる。
そして歩んでいくうちに、己の運命も見えてくるだろう。だが、何を為し何を遺すかは、結局のところお前の意思に掛かっている。
私からお前に願うことはただ一つ、己と徳に誠実であれ、ということだ。
全てはニューブリタニアの為に。頼むぞ。

さて旅人よ、一体お前の旅をどこから始めたものかな?

レジェンド地方のイレブン・フォークで"真実"を探求することから始めてみるかい?
真実の探求の途中で、さまざまな偽(いつわり)がお前をまどわすことだろう。
己が道と真実の狭間で多くの者が道に迷う。
さてお前は正しく歩むことが出来るだろうかね?

北西の地ではブレイブ・ロードが"勇気"ある盾となり、コボルド達と終わりなき戦争を続けている。コボルト達の築いたテクノロジーとマジックは、のさばる人間達への抵抗なのだろうか?
そしてコボルド達がなぜ戦いを続けているのか、お前に探ってみる勇気はあるかい?

お前が行く手にはスパイトのアンデッドの軍勢も待ち受けているだろう。
彼らに慈悲はなく生ける者に冷たい怒りを振るうばかりだ。
憎しみに振り回される悪しき屍達の中心で、お前は"愛"を見つけることが出来るだろうかね?

さあ、お前の前には多くの道があるようだ。
自身の運命だ。選び取るのはお前の他にいない。
いずれにせよその運命の最後に、この世界の隠れた支配者と対峙することになろう。
その時、お前がこの世界で得た全ての叡智が必要となるだろう。

今話せることはこれが全てだ。
さあ、行くがいい旅人よ…。

Story Sneak Peek #3


また会ったな旅人よ。私はアラベラ、お前を導くために使わされた者だ。


以前、私がお前がいくべき道をいくつか示したのを覚えているな。
あの中から、今いくべき道を教えてやろう。
まずは"真実"の探求からはじめるといい。

4世紀前の大災害を生き延びたある人々は、今はノビアと呼ばれている大陸へと落ち延びた。
そこでも彼らは苦難の生活を強いられたが、ノビア大陸にある湾の豊富な資源のおかげで命を繋ぐことが出来た。また彼らのように、大災害を生き延びた人々が世界の各地にいる。
お前の旅の途中できっと出会うことだろう。

その中でフォーセイクン・バレーに住むバルタの民、と呼ばれる新しい種族がいる。
我々は彼らを"エルフ"と呼んでいる。
ロードブリティッシュによれば、このノビア大陸には大昔はエルフが住んでいたそうだ。
バルタのエルフ達の外見は人間とよく似ている。
しかし、よくよく付き合ってみれば我々と異なる点のほうがもっと多いことがわかる。
彼らは人間との共生を嫌う。我々が情熱によって行動するのに対し、彼らは非常に冷静である。
歴史と知恵と真実を愛し、その勤勉さから得た叡智を自身の民族の為に使う、彼らはそんな種族だ。

エルフだけがこのニューブリタニアの新種族というわけではない。
ノビアの南西には資源豊富な島がある。
ここでは人間達と神話の生物達が長く共に暮らし混血が進んでいる。
御多分に漏れず、それは対立の問題の種ともなっている。
世界の復興の際に様々な種族が出会い、そして衝突してきた。水を求め争い、互いを騙し、それぞれが自らの正義を是として譲らなかった。
この世界の平和は刃によってのみ成し遂げられる。
お前は旅の途中で、その剣戟の間を通らねばならないこともあろう。
それに加え先の戦争で猛威を振るった闇の軍勢の残党ども、フォーモリアンと呼ばれる連中がブラックブレードに砦を築き、他の勢力と衝突を繰り返している。

旅人よ、お前の行く先々で思いもよらない出来事に出会うことだろう。
豊穣の大地ミッドメールと不毛の地クエール。勇気ある船乗り達の集団ベイ・オブ・ストームズはお前達旅人を伝説の地エリシュオンへと送り届けてくれる。そこではあらゆる工芸の粋を見ることになるだろう。
お前の辿る道は運命によって導かれ、そして思いもよらぬ試練を与えられるだろう。

さあではその第一歩を歩きだそうか。
まずは"真実を求める旅"、だ。

その"真実"はお前が思っていた通りのものだろうか?
その"真実"はお前が思いもよらなかった様なものだろうか?
その"真実"はお前が本当にそう価すると思える様なものだろうか?

旅人よ、全てはお前の選択に掛かっているのだぞ。

The Oracle



―"真実の探究者"の歴史家、メイリードの日誌より―


グルンバルドの地での旅は、覚悟はしていたものの困難を極めた。
夜な夜なアンデッドどもが地より這い出し、スケルトンの大規模な軍勢が北へと侵攻を始めていると聞く。
しかしこのような状況の中でも収穫はあった。
この地にはまだ人が生活をしている集落がいくつかあり、しかも何世代もそこで暮らしているという。
この地での代々の生活の記録を得ることが出来たが、残念ながら失われてしまったものも多かった。

我々はこの地で人々の信用を得ることに成功した。おかげで現地の古代遺跡の調査が捗る。とはいっても、彼らに気前よくコインを弾む、という前提の上でだが。
とくに沼地を調査する時には参った。その土地をよく知る現地の漁師に協力を要請したが、これを取り付けるにはいつもより気前よく礼金を弾む必要があった。

古代遺跡の持つ荘厳さは筆舌に尽くしがたい。
この遺跡はまだ形を保っているが、残った傷跡を見るに、これを築いた祖先達は大災害を生き延びることはできなかっただろうと思う。

レンガと削りだしの石でできた女性の頭部を象ったとみられる像。
この頭部は、神託の間で見たものと非常によく似ている。
当時の時代に作られたとは思えないほどに複雑な機構をしていたあれに…。
これはグレゴリーが最初に言い出した主張だが、今では皆が認めることだ。
オラクルがいつから存在していたかは分からないが、大破壊の以前から存在していたことは明らかになった。

オラクルについては多くの論説があり、存在自体を否定するメンバーもいた。
しかし、神託の間でみたものと目の前にある女性の頭部の一致。
この事実を前にまだ否定を続けようという頑固者はそうは居ないだろう。
とはいえ、事実を前にしてもまだ寝言を抜かす石頭は、いつの時代にもいるものだが。

しかしまだまだ謎は多い。
オラクルからは何かを要求する声が発せられる。その音声は毎回違ってはいるが、時にハッキリとした口調で何かを命じているようだ。
しかし、その声が何を意味しているのかは我々には全くわからない。
オラクルは機械仕掛けのマシンであり、大災害以前につくられた知的なデバイスなのだろうか?それとも魔法仕掛けの生き物なのか?
あるいは、我々の想像を超えたなにかか?

とにかく、その現物が我々の目の前にある。
オラクルは実在したのだ。
そして、我々の祖先達もオラクルのことを知っていた。
さらにさかのぼれば、このオラクルを造った遙かな先祖達がいるに違いない。

以上が調査結果のまとめとなる。
しかし、まさかこんな辺境の沼地で、こんな大発見をするとは…。

Story Sneak Peek #4



また会ったな旅人よ。
行く先々での運命はすべてお前の身の振り方一つに掛かっている。よく覚えておくのだぞ。


前回会った時は、お前に"真実"についての話をしたな。
今回はペレニアル・コーストについて教えてやろう。

ペレニアル・コーストはヒストリー、ファミリー、愛、マリス(悪意)の4つからなる土地だ。
アルドリスの街は湾から伸びる川によって分割されている。
湾を挟んだ東西には砦があり、一つは"地を愛する王"、もう一つは"優しき風の女王"の名がついている。
かつてこの二つの砦は"愛の橋"によって接続されていた。
しかし現在その橋は失われてしまい、人々の心に隔たりが出来てしまった。
もう一度橋をかけようという試みはあったが、一度離れてしまった心は猜疑心を生み、その計画は実現しそうにない。
お前なら、どうやってこの問題を解決するだろうかね?

さらに、この土地はまだ問題を抱えている。
大災害以来アンデッドが発生し、さらにその数は増え続けるばかりだ。
今もグランバルドからドラクバルドへと、アンデッドの大群が押し寄せている。
"ドレッドロード"はアンデッドどもを率いて不死者達の帝国を築こうとしているらしい。
このアンデッド軍団はネクロポリスの"死の巣窟"から現れ、その勢いは止む様子がない。

ペレニアル・コーストはこれら種々の問題によって疲弊し、今や滅亡寸前にまで追い込まれている。
この土地を救うにはアンデッド軍団を制する必要があるだろう。
しかし旅人よ、相手は不死者だ。力だけでまともに打ち倒すことは叶わない。
予言の中の英雄は知恵によって彼の地を救うという。
まずペレニアル・コーストの人々の心を取り戻すため、二つの砦にもう一度"愛の橋"をかけることが急務となるだろう。しかし人心が荒廃してしまっている状況ではそれも難しい。

お前は居並ぶ不死者の軍団をかき分け、その中心部へと乗り込まねばならない。
その暗い場所を照らしている唯一の明かりは復讐という名の冷たい炎。
お前はそこで不死者達をも救う光とならねばならない。

旅人よ、お前は彼の地の人々が忘れてしまった慈悲の心を取り戻さねばならない。
さもなくばペレニアル・コーストの地は不死者の餌食となってしまう。
旅人よ、全てはお前の選択にかかっている。お前の心だけが彼の地を未来へと導くだろう。
お前の力によって、彼の地の未来は明るいものとなるか、それとも…。

Story Sneak Peek #5


また会ったな旅人よ。
行く先々での運命はすべてお前の身の振り方一つに掛かっている。よく覚えておくのだぞ。


真理と愛については以前にもう話したな。
このノビアの大陸を旅するに当たり、お前を導くもう一つの大事な徳について話そう。
その徳とは"勇気"だ。

勇気を示すには様々な方法がある。
例えば、毎日のように困難や外敵を相手にしなければならないような環境での生活は、自然にその者に勇気を与え、そしてその勇気を自負出来るようになるだろう。
ノルガードの防衛に付くヴァルホールドのナイトは、まさにそういった者達だ。
彼らは南方からの脅威を何世代にもわたり退け続けてきた。
その相手がなんであれ、例え異形の魔導生物がこようとも、ヴァルホールドのナイト達は一歩も退くことはないだろう。
彼らの大切な家族と人々の命が、自身の双肩に掛かっていることを知っているからだ。
フォーモリアンとの戦争の行方は北方の運命を左右する。
その前線に対峙したナイトの姿は勇気の体現といえるだろう。

フォーモリアンの時代に発見された生物達は、いずれも興味深く、魅力的で、そしてコボルドよりも恐ろしいものだった。
今も南方に住むエルフ達、彼らは長い間伝説上の生き物と思われていた。
初めて彼らと対峙した時、エルフのそう大きくもないその体躯から、ノルガード側はその戦力をコボルド程度のものだろうと侮っていた。
しかしいざ戦闘となると、ノルガードはエルフ達の知能の高さを思い知ることとなった。
エルフは人型の生物の中ではおそらくもっとも賢い種族だろう。
エルフは軍隊を組織し、幾多の戦いの中から高度な戦術を身につけ、さらに彼ら独自の技術で鍛造された特殊な金属の装備を有していた。
コボルドの巣窟から生還した数少ない者達の証言の中でも、エルフの文明レベルは多くの分野で人間のそれを凌駕するものであった、と報告されている。

旅人よ、コボルドという種族は思っているほど知能が低い種族ではない。
その外見と体躯の小ささからヒトは彼らを舐めてかかるが、彼らの身体サイズはその生活環境の中から適応した結果に過ぎない。
彼らには独自の文明と背景があり、愛の徳さえも理解している。
さらに名誉の徳さえも備えており、様々な意味において我々人よりも名誉を重んじている。
コボルド達は我々ヒトがその体躯から彼らを侮っている、ということを知っており、それが彼らの名誉を傷つけている。
彼らがヒトと戦うことに躊躇をしないのは、そういった背景があるのだ。
コボルドはヒトに対し名誉を知らぬ臆病者だと言う。
彼らの立場からすればそれも正しいかもしれないな。
旅人よ、とにかく実際に彼らを見て確かめてみるがいい。
お前に勇気があるならば、な。

彼らはスクレックのスローンズに本拠地を持っている。
そこから戦いに赴いてゆくコボルド達にとって、ヴァルホールドのナイトの撃破は彼らの名誉をかけた問題となっているようだ。
コボルドの捕虜となっていた者が、彼らのメッセージを持たされて帰ってきたことがある。
メッセージの内容は非常に簡潔だった。
「必ず決着をつけてやる」

旅人よ、勇気をもってコボルドと向かい合うことで、彼らから学べることは多いはずだ。
この戦乱の中では、困窮する人々に勇気を期待するのは難しい。
ヴァルホールドの王グラナスには、勇敢なる軍隊と戦士達、そして防御の任に付く有志達がついている。
彼らは長きにわたり祖国を守り続け、彼ら自身の結束も強固なものとなっていった。
お前はそこで勇気と出会い、その本質を見ることが出来るだろう。

…もしそれが叶わないとなれば、
このノビアの地を制するものは人間以外の何か、ということになってしまうだろうね。

Story Sneak Peek #6



また会ったな旅人よ。旅の始まりは近いぞ。

前回はお前の行くべき道を指し示した。
この地の徳は廃れ、三つの原理、真実・愛・勇気は見捨てられつつある。
だが、お前がもしこの三つの原理を取り戻すことが出来たのなら、その時運命によってお前は首都ブリタニーへと赴くことになろう。
首都ブリタニーはノビア大陸一の大都市であり、あのオラクルも今はここにある。
ノビア大陸の方々の街はその日の生活にさえ困窮しているが、首都ブリタニーはロード・ブリティッシュが直接治める地であり、周囲にある農場から都市の人口を十分に養えるだけの食料が供給されている。
水資源も豊富で、ブリタニーには用水路と水道が完備されている。
そして北にあるレガリスのダムは非常にユニークな建築物だ。
ここでは水力発電が行われており、ブリタニーへの電力供給をまかなっている。
ブリタニーの人々は夜でも人工灯の下を歩くことが出来、ブリタニーはいつも月夜の晩よりも明るい。
そして街の中心部にある電力塔からは大きなエーテルバリアが展開されている。
このバリアによってブリタニーはステルス化され、外敵に発見されることはない。

ブリタニーの中心部にはオラクルを祭るホールがある。
このホールは何重にも張り巡らされたゲートとバリアーで守られている上、警戒に任につく者達もよく訓練された精鋭揃いだ。
予言によれば、お前は運命に導かれここへと辿り着くことになる。
オラクルそのものに何かを問いかけることは許されておらず、取り次ぎの間を介して話をしなければならないルールになっている。
しかし、お前は直接オラクルに会わなければならない。
オラクルとの面会こそが予言の終点、それ以上のことは予言には書かれていない。
しかし、それは世界の救済の鍵となることだろう。

ロード・ブリティッシュはブリタニーの民にはよく知られているが、ここ数百年は彼の影響力も限定的になり、この都市の外では通用しなくなっている。
昨今のロード・ブリティッシュはノビア大陸を離れ、大破壊の爪痕がいまも残る地域へと出かけることが多くなった。しかしロード・ブリティッシュの唱えた徳は、こんな時勢であっても輝きを失ってはいない。
人々の多くが徳のことを忘れてしまったが、予言されていたアバタールの出現が現実のものとなった今、徳の大切さを再び人々に説いて回るいい機会が訪れたとも言えよう。
しかし現在ロード・ブリティッシュの愛した徳は、急速に廃れつつある…。

ロード・ブリティッシュとオラクルとの関係?
それは私にもわからない。
ただ、オラクルがなにかしら間接的に手を回して、ノビア大陸の平和を保っているのは確かだろう。
しかし、その平和もいよいよ終わりを迎えようとしている。
いつカオスの闇がブリタニーも包んでもおかしくはない。
もしブリタニーが陥落することがあれば、ノビア大陸の未来はない。

旅人よ。
私の名はアラベラ、お前がブリタニーに来た時にまた会おう。
今はお前の最初となる旅の支度を急ぐがいい…。

Story Sneak Peek #7



また会ったな旅人よ。また私の話を聞いてくれるか?

お前が旅立つ前に、旅の途中できっと立ち寄ることになるであろう土地の話をしておこう。

ヒドゥンベールの地はノビア大陸と断絶してから数世代ほど経つ。
オラクルでさえヒドゥンベールで何が起こっているかは、巷の噂程度しか知らないようだ。
そして、彼の地の人々はオラクルのことを特別どうとも思っていない。
オラクルと議会の影響を嫌った人々は、ヒドゥンベールへと移り住んでいったのだ。
訪れれば分かるだろうが、ヒドゥンベールはノビアの他の地域よりも一層荒廃しているように見える。
きっと今は、最後にオラクルの使者が説得に訪れた時よりももっと荒れているだろう。
オラクルの支配に反発することこそが、ヒドゥンベールの人々の信じる自由であり、またそのことを彼らの誇りとしている節もあるようだ。

最近まで、頻度こそ少ないものの、ブリタニーとポートグラフからもヒドゥンベールへ交易船が出ていたのだ。
しかし、数年前からその交易は止まってしまった。完全にな。
何故か?オラクルがそう命じたのだ
オラクルの支配に抵抗するヒドゥンベールの人々に対しての制裁なのか、それとも予言が関係しているのかはわからない。
ヒドゥンベールの人々にとって、交易船は生活物資を得る為の生命線だ。
それを断たれてしまった結果キングスポートの街は苦境に陥ることになってしまった。
街の周辺を悪の軍勢と賊が荒らし回るようになり、キングスポートの人々は街を捨て難民となった。

キングスポートの難民の多くは、オウルズヘッドの街へと逃れた。
この街には王も領主もいない。
敢えて言うならば、自警団の団長であるロード・デルバート・エンマーがオウルズヘッドの長になるだろう。
彼の家系は代々名誉あるオウルズヘッド自警団の団長を務めている。
昨今の状況により、エンマーは頭を悩ますことが多くなった。
キングスポートから始まった混乱がオウルズヘッド近郊にまで迫ってきたのだ。
さらにオオカミの群れが郊外の農地をうろつくことが増え、潤沢でない財政をさらに圧迫している。
キングスポートのある南方からはアンデッド達が侵攻してきており、ここ数週間ヒドゥンフォートレス(隠し砦)からその姿が出てくるのが報告されている。
おまけに、近隣の丘の上にドラゴンが陣取るようになった。

ヒドゥンベールの人間はあくまでも自身が信じる自由を重んじている。しかし、それには命さえ脅かすような多くの苦難が伴っている。
彼らにとって、正体不明のアバタールの出現など不安の種でしかなかろう。
気を付けるがいい。
この世界に予言を知るものは多いが、私のようにお前の身を案じている者ばかりではないからな。

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