Lord British Interview Part 2: WoWクローンの終焉とMMORPGの未来

WarCry.comのロード・ブリティッシュインタビューのPart2です。
今回はMMORPG業界の衰退の原因と、今後のゲームのタイトルに必要とされるエッセンスについて語っています。
http://www.warcry.com/news/view/129561-Lord-British-Interview-Part-2-World-of-Warcraft-Model-of-MMOs-Overdone

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Original Article by Jon Prosperi | 14 November 2013 2:00 am

ゲーム産業の未来は明るい。
ロード・ブリティッシュの目に業界の今後はそう映っているようです。
リチャード・ギャリオット、いわずと知れたゲーム業界の重鎮で、16タイトル以上のゲームをリリースし、彼が抱えている2つのゲーム開発会社は大きな成功を収めています。
ロード・ブリティッシュは、ビデオゲームの進化と共に、ビデオゲームは"ストーリー・テリングの媒体"として成熟していくと予想しています。
今後の業界のトレンドとしては、従来のテーマパーク型のMMOは廃れ、バーチャル・リアリティよりの進化を遂げるものと見ています。

現在はすでに馴染みとなった、映画・ラジオといった各メディアも、その登場から市民権を得るまでには結構な年数が掛かりました。
そこでゲームを一メディアとして捉えてみると、その成熟期を迎えるのはまさにこれからなのです。

RG:
認知され、市民権を得るには相当の時間が必要だ。
もちろんゲームというメディアもそう。映画が広くメディアとして認知されるのにも登場から30年は必要だった。ラジオの普及も同じくらいの時間を要したと思う。
では、ゲームは?そう、まさにゲームが一メディアとして成熟するのはこれからなんだ。
(参考:UltimaⅠ、WizardryⅠのリリースは1981年)


業界の未来について、リチャードは2、3の予測を立てています。

RG:
まず、今後10年でファースト・パーソン・シューティングと箱庭ロールプレイングゲームの売り上げがどうなっていくかを注目しているよ。
この2つのジャンルの売り上げにはある関係性があって、一方のセールスが伸びると一方が下がるという具合になっている。
この現象の起こりは、まず新しいゲームプラットフォームが登場すると、そのハード性能を手っ取り早く体験したいユーザーはFPSのようなジャンルに手を伸ばす。分かり易いね。
そしてそのプラットフォームが定着し、ゲーム製作におけるノウハウや技術が蓄積してくると、ユーザーはもっとストーリーや奥深いゲームコンテンツを持ったタイトルをプレイしたくなるんだ。


そのいい例として、CrysisとSkyrimを挙げることが出来そうですね。

RG:
それからもう一つ。グラフィックの進化のスピードは今より鈍くなるだろう。
というのも、すでに現行のグラフィックレベルは相当なものになっているからだ。
こうなるとこれ以上進化するだけでも大変だし、多くのゲームタイトルでこれ以上のグラフィックレベルの向上は必要無いと思う。
ハードウェア性能の向上によりグラフィック描画には余裕が出来てきているくらいだし、Unityのような(高負荷を要求しない)現行のエンジンも改良を重ねて進化している。
急にグラフィックの進化が止まってしまうようなことはないだろうが、頭打ちになるまでは徐々にそのスピードは緩やかになっていくと思う。


従来の箱庭タイプやテーマパークタイプのゲームの、ゲームデザイン的な限界についても言及しました。

RG:
これらのジャンルの中にも素晴らしいRPGタイトルはある。
しかし、(MMOの)多くのタイトルがEQやWoWライクなゲームモデルへと収束していくようだ。そして、これらのゲームモデルの耐用年数も終わりに近い。
何故か?これらのゲームモデルは"世界の創造"ではなく、"システムの構築"に終始しているからだ。システムだけに注力していては、そのゲームの寿命は短いものになる。
彼らは(ゲーム)システム屋であり、ゲームワールドを創造することをしていない。


リチャードの発言から、すでにゲームファン達はゲーム産業の新時代を迎える準備が出来ている様に思えます。ここ10年でゲーム産業はさらに大きくなり、それにつれてゲーマー達の審美眼も一層肥えてきたということでしょうか。

RG:
"レベル上げ一辺倒のMMOはもう過去の遺物となる。現行のMMOに欠けている奥深さのエッセンスを付加する必要がある"


また、ゲームデザインの変革以外にも着目していることがあるそうです。
それは、ゲームプレイを通じてゲーマーがゲームソフトウェアとその可能性について、もっと深く考えてくれるようになってほしい、と願っている点です。

RG:
レベル上げが目的のテーマパーク型ゲームの時代は終焉を迎える。
"箱庭"(sandbox)型も、従来のただの遊び場から脱却する必要がある。
その先に"ゲームの成熟"を見ることが出来ると思う。
大体今から5~10年くらいで答えが出る。
その頃は今よりもっとグラフィック描画性能が向上し、VR体験へ没入する為の下地も整っているだろう。
ゲームの今後に必要なのは、よく洗練された"ゲームワールドの構築"と"箱庭世界としての完成度"。
そして、もっとその世界の中に居たい!という"没入感"だと思う。


先ほど述べた、FPSとRPGのゲームタイトルのリリースサイクルについて、ここでもう一度リチャードは言及しています。

RG:
"新しいゲームテクノロジーのお披露目の役は、今後もファースト・パーソン・シューティングのタイトルが務めることになるだろう。ハードウェアの進歩とFPSタイトルの隆盛のタイムラインは一致する。
しかし、それから五年ほど後、そのテクノロジーがこなれて定着した頃に、高度なバーチャル・リアリティ体験を提供してくれる大型ロールプレイングゲームタイトルが登場することになるだろう。


"ゲームワールドの変革"について、リチャードの取り組みは当インタビューのPart1をご覧下さい。先のインタビューでは、あたらしいゲームテクノロジーと暖めてきたゲームデザインのスタイルについて彼に語ってもらいました。
次のPart3では、ゲームデザイナーの育成について議論していきたいと思います。
次世代のゲームデザイナーに必要となる資質について、リチャード・ギャリオットからアドバイスを得られると思います。

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