gameindustry.about.com: リチャード・ギャリオット インタビュー - Part 2: Crafting and Economy

SotAでもっとも魅力的なポイントは何ですか?

色々とあるんですが、まず一番の魅力はストーリーになるでしょうね。
ストーリーに関しては最初からトレーシー・ヒックマンに全面的に協力してもらっています。
私はプロフェッショナルのライターではないので、ストーリーのフロシキを広げるのは得意なのですが畳み方が少し不味いですね。
だから、今回はトップレベルのプロと一緒にストーリーの製作に当たっているんです。
トレーシーには大いに助けられましたよ。

SotAは会話システムも魅力的なものになっていますよ。
現行のRPGのような、メニューから会話を選択するという仕様は採用しません。
クエスト進行も、メニューから挑戦するクエストを選んだ後、マップの矢印に従って移動する、という現在主流となっているこの仕様も排除します。
退屈なレベル上げ作業もSotAでは必要ありません。
我々の目指す会話システムは、昔のゲームの古き良きスタイルと現在のテクノロジーを上手くマッチさせたものです。
たとえば道ばたで出会ったNPCと会話をするにも、他のプレイヤーに接する時と同じように、好きなワードを自由に打ち込んで会話を進めることが出来るんです。
複数のキーワードが入ったセンテンスに対しても、NPCはそのマルチワードに対して適切な反応を返してくれます。
当初からこういった仕様を目指していたわけではなかったのですが、チームのゲームデザイナーがこのシステムを作ってくれました。
実際にNPCの前に向かって、「やあ、バーテンさん。オレはリチャードっていうんだ。まずビールを一杯やりたいんだが、種類は何があるかな?エールが好きなんだがね。」とセリフを言ってみると、ちゃんと複数のキーワードに反応して、それぞれの事柄に対して適切なレスポンスを返してくれるんだ。

クラフトのシステムも凄いんですよ。
これからもさらに拡張がなされる予定ですが、現在のベーシックな段階のシステムでも、相当な数のアイテムを作り出すことが出来ます。もちろん、隠されたクラフトレシピの数もうんとあります。

今振り返ってみても、UOはMMORPGの中でもっとも多様性を尊重しているシステムを持ったゲームだと思います。
この多様性は、SotAにも受け継がれることでしょう。

SotAではフィールドでクラフト用の素材を集めることが出来ますが、この素材の種類も膨大なものになるでしょう。
また、同じクラフト用素材でも、様々なスキルで活用されるものもあります。
材料の精製、例えば鉱石からインゴットを精製した後、色々な鋳型に流し込んでワイヤーや剣の刀身を作成することが出来ます。
もちろん鍛冶だけでなく、他のクラフトスキルでも同様です。
クラフトの手順は全てのクラフトスキルで共通です。
また、クラフト用のツールも一種類あれば全てのクラフト作業を行うことが出来ます。

また、あるアイテムを作成する為のクラフト用レシピがなくても、その材料と組み合わせさえ分かっていればそのレシピのアイテムをクラフトすることが出来ます。
開発チームがこっそり新レシピを投入しても、誰かがそれに気付くまで時間がかかるかもしれませんね。ひょっとして、ずっと発見されないレシピもあるかもしれません。

SotAでは完璧な経済システムを構築すると聞きましたが?
ゲームの世界にあるアイテムの多くが、プレイヤーがクラフトしたものになるとか。


ええ、クラフトアイテムをベースとした完璧なものを目指します。
出来ないことはプレイヤーがガレキを集めて自分の家を建築することくらいですかね。
SotAの経済システムは、その世界の中で自給自足出来るサイクルを持つでしょう。

また、現行のMMOでよくあるシステムのいくつかを排除することにしました。
例えば、あなたが剣を作ってクラフトスキルを鍛えたい、と思うとします。
その結果、スキル上げの為だけに作られた、ゴミのようなクオリティの剣の山が出来上がってしまうのです。
その不毛な反復作業をしなくてもいいように、スキル上げがプレイヤーにとって有意義なプレイ体験になるようにデザインします。
例えば、傷んだアイテムを修理することは、スキル上げにとってもプレイヤーにとっても有意義なことですよね。
全てのアイテムに存在価値を持たせ、そのアイテム達が余すこと無くゲームの世界で有効活用されるシステムを構築すれば、アイテム作成によるスキル上げの作業はプレイヤーにとって有意義なものとなります。

もちろん剣の山をつくりたい、というプレイヤーも中にはいるでしょう。
そういったプレイヤー達の為にも、作成した剣はクラフト素材として再利用できるようにデザインしています。あらゆるアイテムに"存在意義"を持たせるためにね。

UOでは低レベルなアイテムの氾濫によりインフレの問題が起こりました。
例え使いでのあるアイテムであったとしても、クラフトされるアイテムの数は膨大なものになりますよね?
その対策は立てているのでしょうか?

現段階では解決のメドは立っていない。
非常に難しい問題だと認識しているよ。
Wizard 101というタイトルから色々と学んでいるところです。
我々のチームにいるあるデザイナーは、昔このゲームのデザイナーも務めていて、とりわけゲーム内経済についてのスペシャリストだったんですよ。
彼のいたチームは、ゲーム内経済の為にプレイヤーベースの経済構造を確立する必要に気付いたのです。
NPCベースの経済サイクルには、かならず穴が出来ますからね。

Wizard 101で為された試みの中に、もしかしたら私の誤解もあるかもしれないが…ローカルバザーのシステムがありました。
SotAでは地域経済のシステムを導入しようと考えています。
たとえば、ある地方で剣の在庫がダブついた状態なったとしましょう。
SotAのシステムは各アイテムの総量を常に監視していて、まず、在庫が過剰になればその地方市場での剣の価格は下がっていきます。
あるラインまで下がると、今度は過剰在庫分の剣が消滅していくようになります。
このラインの価格は運営側が決定します。
アイテムの市場価値を維持するために、我々は最低価格・最高価格を設定し、閾値を超えたアイテムはシステムによって在庫数が処分されるようなります。

プレイヤーがクラフトしたアイテムはどうなりますか?

いわゆる"湧きアイテム"として、流通ルートにのることになります。
こちらはスポーンタイマーを操作することによって、流通量を調整することが出来ます。
(訳註:ローカルバザーでクラフトアイテムを売ると、モンスターの所持品やランダム宝箱の中身の候補としてストックされるのでしょうか?)。

では、剣の在庫が少ない地方を目指して世界各地からプレイヤー達が売りにやってくる、という地方イベント的なことも起こるのでしょうか?

そこまでは細かく考えていなかったね。
でも議論は続けているよ。
経済に関しては、なるべくゼロサムに近い形にしたい。
たとえばある宝箱の中身がスポーンしたとしよう、それは世界のどこかであるプレイヤーがアイテムロストした分によって埋め合わせられるような形になる。
また例えば、リッチキングが金のクラウンをルートアイテムとしてもっているとしよう。
そして多くのプレイヤーが押しかけてリッチキングを狩りまくったとする。
すると、今度はリッチキングのルートアイテムから金のクラウンが無くなってしまう現象が起こるんだ。
そうするとリッチキングを狩るうまみは無くなってしまうというわけだ。
とはいえ、実際にそういったシステムを導入したとしても、こちらの思った通りの結果になるかは分からないけどね。

ゲーム内経済のマネージメントには、複数の制御装置が必要だと思っている。
ゴミアイテムの氾濫を阻止し、過剰在庫になってしまったアイテムを処分する、様々な方法を検討しなくちゃね。

剣を例に挙げられましたが、剣をどうにかしてクワをクラフトすることは可能ですか?

ええ、剣を溶かしてそれを材料としてクワを作ればよいのです。

クラフトされたアイテムは素材レベルにまで還元出来るということですか。

そうです。

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