旧世界の記憶#3 Ultima Online BGMs -街編-

2013/8/5のHangoutではSotAのBGMがテーマとして取り上げられました。
配信の中でリチャード・ギャリオットが語ったSotAが目指す音楽を簡潔に表現すれば、"耳に残るメロディー"となるでしょう。
個人的にこの意見には全面的に賛成で、彼の掲げたテーマはゲーム音楽というジャンルのあるべき姿だと確信しています。
そして、その理想の形の一つとしてUltima1-6の作曲を担当したKen Arnold氏の楽曲について言及されました。
旧作は6以外プレイしていないのですが、UOのBGMには旧作のアレンジが多く収録されており、プレイ中に馴染んだ楽曲も数多くあります。
今回はUOの楽曲について一曲ずつ思い入れを書いていきたいと思います。
記事中で紹介する楽曲ファイルはThe Ultima Digital Music Archiveより引用させて頂いたもので、並び順もそれに倣っています。

街のテーマ


Britain

慈悲(Compassion)を司るブリタニアの首都ブリテインのテーマです。
この音楽を聴くとブリテイン銀行前の人混みが思い出されます。
大勢の人の中をかき分けながら銀行前の商売人と交渉したり、混雑に乗じてアイテムを盗んだ泥棒を追いかけたり、他のプレイヤーの立ち話に耳を傾けたりと、数多くの出来事が喚起されます。
元々この曲はUltima3の街のテーマでした。


Cove

辺境の村コーブのテーマです。
ハープの効いたスローでメロディックな曲で、寂れたCoveの雰囲気が良くでていると思います。
Coveは銀行や魔法屋といった主要な施設が無く、街の東部にある小さな鉱山でツルハシを振るう採掘士以外は人影もほとんど無い寂しい街でした。
私はT2A導入から半年くらい経った頃にUOをプレイし始めたのですが、実はそれ以前はオークやモンスターとの戦争により、町中にNPCの人骨や死体がランダムスポーンする非常に殺伐とした設定の街だったそうです。
このどこか悲しげなメロディーはそういった背景から作られたものだったのですね。
この曲はUOオリジナルです。なぜかこの曲だけmidiファイルのボリュームが大きめでした。

Jhelom

武勇 (Valor)を司る街ジェロームのテーマです。
この街に漂う男臭い雰囲気は、街中央の闘技場やどういうわけか5軒ある武具店の店主達(バシネット装備)から発生しているようです。地面が全く舗装されておらず土がムキだしなのも無骨度を高めています。
また、ワープタイル使って行けるジェローム牧場はデュエルピットとしても使われています。
鎧に身を包んだ戦士達が敷地の中の家畜達を皆殺しにした後、今度は人間がそこで殺し合いを始めるという非常にバトルマニアックな空間でした。
どことなく西部劇を思わせる曲調が血なまぐさい荒野の決闘を連想させます。

銀行の北には墓地があり比較的弱いアンデッドが発生するので、駆け出しの戦士がゾンビやスケルトンと死闘を繰り広げる様が年中見られました。

スケルトンからは少額のゴールドと骨防具を拾えるので、スキルの鍛錬をしつつ防具をそろえることが出来、もし死んでも街と隣接しているので復活や装備の回収が楽です。
ジェロームでガイコツを殴って成長したプレイヤーも多いのではないでしょうか。
楽曲はUOオリジナルです。

Magincia

 謙譲(Humility)の徳を司る魔法都市ニューマジンシアのテーマです。
あまり立ち寄ったことが無いので思い入れがないのですが、舗装された広い道路と入り口の広い建物が特徴のハイカラな街です。
この街の銀行は海沿いにあるため、船を横付けすれば船上からバンクボックスにアクセス出来ました。
家が無い人は船を家代わりに生活するのですが、ここに船を陣取ることが出来れば何かと便利そうでうらやましく思ったものでした。
家だけでなく船にも一等地があったのですね。
曲はUOオリジナルです。

Minoc

献身(Sacrifice)を司る職人の街ミノックのテーマです。
ミノックといえば大鉱山、そしてその大鉱脈を求めて集まる採掘士や鍛冶屋。そしてそれら仕事人に襲いかかるPK達。
銀行周辺にある鍛冶屋は扉が開放されており、店中央の大きなフォージが鍛冶の街の雰囲気を盛り上げています。
街はなだらかな斜面になっており、タイル舗装された歩道の脇には草が茂っています。
区画整理もそこそこに飾り気のない街の雰囲気はどこか牧歌的で、BGMもスローテンポでゆったりとしたものになっており、メロディーラインも非常にキャッチーなので曲が記憶に残ったプレイヤーも多いのではないでしょうか。お気に入りの一曲です。
曲はUOオリジナルです。

Moonglow

 誠実(Honesty)の徳を司る魔法都市ムーングロウのテーマです。
神秘的なハープなイントロが印象的で、街のテーマによく合っています。
ムーングロウの街は大きな島でもあり、街中央のワープタイルから大望遠鏡や動物園、大図書館ライキュームなど観光名所にアクセス出来ます。
街の区画も非常に余裕のある間取りになっており窮屈さを感じさせません。
郊外にはコットン畑や牧場があり、それらを拾いつつ島内に散在する動物を狩って身支度を調えた初心者の方も多いのではないでしょうか。
また、島内にはプレイヤー経営のショップが立ち並び、ガード圏内にも逃げ込みやすいのでお買い物と観光で二度美味しい街といえるでしょう。
そして魔法ショップが群を抜いておおいので、世界各地から秘薬を求めるプレイヤーで店内は常に混雑しています。
秘薬の調達は魔法使いに限らずブリタニアに生きる者にとって共通の重要事であります。
なにしろ在庫が補充された瞬間に買い占められるので、プレイヤー達はvendor buy以外は一言も発せず店内をうろつきまわり、皆殺伐とした雰囲気の中でマンドレイクの根っこやナイトシェードを買っていました。
また、気を急いてうっかり所持重量を超える量の秘薬を買ってしまい、足下に落としたところを他のプレイヤーに取られる悲劇・喜劇も毎日各地の魔法屋で繰り広げられていました。
楽曲はUOオリジナルです。

Nujelm

 リゾートの街ニュジェルンのテーマです。
落ち着いたリズムとダウナーなピアノの旋律とホルンの音色が印象的。
でもリゾートっぽい開放的な曲調じゃないのはなぜでしょうか。
街の西側のビーチにはロッジが並び、ショッピングセンターもあります。
そしてなぜか墓地も隣接されていますが、他の墓地とは違い格調高い霊廟のようにも見えます。

街のシンボルでもある大理石造りの豪華な結婚式場は非常に有名で、PC同士の結婚式といえばここが会場に選ばれることが多かったですね。
裁判所やそれに隣接するギロチン台や刑務所など、司法関係の設備もあります。
楽曲はUOオリジナルです。

Occlo

 島の街オクローのテーマです。
市街地以外は緑の丘陵に囲まれており、牧歌的ではあるけれどどこか閉じられた雰囲気の街です。
街の設備も一通り揃っていて不便は無く、BGMの曲調も相まって人影の少ない街が好きなプレイヤーに好まれていたように思います。。
The Second Ageに収録されていたチュートリアルデモの舞台にもなった街で、それが縁かどうかわかりませんがトラメルでは初心者専用の街ヘイブンとして利用されていました。

Skare Brae

霊性(Spirituality)を司る街スカラブレイのテーマです。
落ち着きのある威風堂々とした曲調が非常に印象的で、ラストの鐘とフルートの旋律が気に入っています。
街は主要な施設が狭い土地に集中しており銀行周辺には厩舎、魔法屋、武器屋といった重要施設が点在し、使い勝手では類をみない機能的な街です。
銀行の北の森林地帯には数カ所だけ家を建てられるスペースがあり、そこにルーンライブラリとショップの設備があると非常に便利で、スカラブレイは冒険の拠点になる重要な土地でした。
楽曲はUOオリジナルです。

Trinsic

名誉(Honor)を司る街トリンシックのテーマです。
目にまぶしいサンドストーン作りの建物と要塞のような独特な街の構造が印象的なトリンシック。
この曲を聞くとあの砂岩の町並みが目に浮かぶようです。
街のお店や施設はほぼ完全に網羅しているものの敷地が広いせいで使い勝手が悪かったので、近くに魔法屋と武器屋のある第二銀行の方が人気がありましたね。
街の各地にバラックや戦闘練習の木偶が点在しており、要塞都市としての雰囲気が良く出ていました。曲調も相まって勇ましさと壮麗さを感じさせる街です。

Vesper

デルシアでの修行を終えブリタニアへ帰ってきた後、ブリテインから当ての旅に出たことがありました。ひたすら北東へ街道沿いに進んでいき、リザードマンやハーピー等と戦いつつ旅を続けていたのですが、回復アイテムも尽きたころにヘビ噛まれ毒を受けてしまい、転がり込むようにして入ったのがこのベスパーの街です。
入り口の大きな橋の上ですれ違った人に解毒の魔法をかけてもらい、ホッとしたところでベスパーの美しいBGMに気付いたのを覚えています。
そのまま橋を進んでいくと石レンガの大きな建物が目に入ってきました。ベスパー銀行の建物です。
ベスパーの建物はすべて青みを帯びた石レンガで作られており、どの建物も大きく立派で、特徴的な青い屋根も非常にお洒落。
その町並みが一目で気に入りその後はベスパーを拠点にするようになりました。
大きな魔法屋も銀行近くに2軒あり、秘薬の買い付けにも便利です。
他の施設はどれも遠くにあって総合的に使い勝手がよい街とは言えないのですが、街の雰囲気とBGMの魅力が勝り定住を決めました。
透き通るようなハープとベルの音色を聞くと、銀行前の出来事が今も目に浮かぶようです。

ベスパーとコブトスを歩きで往復していたのは15年も前のことになるのですね。
UOオリジナルの楽曲で、お気に入りのひとつです。

Wind

魔法使いの隠里Windのテーマです。
実はWindにはほとんどいったことがないので、このBGMも完全に記憶にありませんでした。
特にコメントは無し。

Yew

正義/公正(Justice)を司る街Yewのテーマです。
重く堂々とした雰囲気の楽曲は、Yewの大裁判所の権威を連想させます。
個人的には森の街というイメージがあるので、もう少し柔らかいイメージの曲が似合うような気がするのですが。
Yewは非常に特徴的な街で、ブリタニアの街の中でも屈指の敷地面積とそれに伴う使い勝手の悪さを持ちます。
しかし、銀行とムーンゲートの間が近く、しかも家が建設可能なスペースが大量にあるので森の中に大量のショップが建ち並び、さながらバザーのような雰囲気です。
ユー銀行とムーンゲートの間の土地は、間違い無くブリタニアでの商売に最も適した場所でしょう。
ユーの東に存在する広大な地下霊廟はにモンスターはほとんど発生しませんが、初めて入った時はおっかなびっくり探検したのを覚えています。
リコールの魔法でいきなり目の前に他のプレイヤーが現れた時は本当に腰を抜かしました。

次回は街以外のBGMに焦点を当てて、曲にまつわる思い出などを書いていきたいと思います。

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