Cyber Monday Deep Dive #1-2: R12を振り返って&シングルプレイヤーとストーリー


サイバーマンデーに行われた12時間連続放送の中でのHangoutとDeep Diveの要約です。
ところどころ理解が不確かな部分があると思いますが、どうかご了承ください。

後半部へのリンクはこちら
Cyber Monday Deep Dive #3-4-5: クラフト&戦闘&プレイヤータウン
http://the-false-prophet.blogspot.com/2015/01/cyber-monday-deep-dive.html


R12を振り返って


・Steamロンチは何も問題なく成功し、今までのリリースの中で最も多くの新規プレイヤーを獲得できました。

・初心者プレイヤーのためにヒントシステムを搭載しました。しかし、サンドボックススタイルのゲーム性を尊重するため、全ての行動をガイドしてくれるようにはなっていません。UOの時のように、身ひとつで世界へ乗り込んだときのあの感覚を大事にしています。あの開拓の感覚を残したままにしておきたいと思っているので、プレイヤーからのフィードバックをもとに、初心者プレイヤーガイドのシステムを改良していくつもりです。

・PvPではレベル差があっても十分に渡り合えるように調整できていたと思います。

・魔法スキルの強化を行いましたが、思っていたよりも強化が不十分だったようです。魔法スキルはより強力になります。

・当初のヘックスの地形に合わせた汎用マップを使う方針を固有マップへと切り替えたことより、それぞれのマップをより作り込むことができるようになりました。

・次回はデザート(砂漠・荒野)のマップシーンが新たに登場します。今までにないほどのアメイジングなできばえとなっています。お楽しみに。

・新規プレイヤーのスタート地点のであるブレーマーでは、いつもたくさんの新規プレイヤーの姿を見かけるようになりました。R12のもっともお気に入りな点はプレイ人口増加により、世界が賑やかになったことです(RG)。

・たくさんの新規プレイヤーが参加してくれたことや、コミュニティからの様々な開発支援に我々開発チームは感謝しています。出資してくれたすべてのプレイヤーの期待に応えるべく、決意を新たにする機会となりました。


Q: プレイヤータウンの販売状況を教えてください


現在60のプレイヤータウンがすでに売約済みです。
当初は10程度の販売数を想定していたのですが、それを大きく上回るものになっています。

Q: マップのロード時間の長さはなんとかならないのですか?


我々がデュアルスケールマップ(ワールドマップとシーンマップの切り替え式)を採用した一番の理由は、オープンワールドスタイルと比較してマップ面積あたりのコンテンツの密度を高めることができるからです。
また、同じシーンであっても、アップデートによりシーン内の状況を変化させたり、マップ自体の大きさを変更させたりするなど、オープンワールドに比べ、シーン単位でよりダイナミックなアップデートを行うことができます。
メモリ管理の最適化作業は継続的に行っており、ロード時間は段々と改善されていっています。
シーンからシーンへ移動したときの大量のメモリを消費してしまう問題など、我々はネックとなっているポイントを把握しています。
今後も継続してロード時間の短縮作業を行っていきます。

RG:
SotAを採用するネットワーク技術は、このMMORPG界においても非常に重要なテクノロジーになると思います。
プレイヤーハウスのデータは常にマスターサーバに記録され、どのネットワークモードでも、そして同じシーンであればインスタンスが違っていても全てのプレイヤーが最新の状態のプレイヤーハウスにアクセスすることができます。


Q: 今回はたくさんの素晴らしい楽曲が導入されていますね


当初ゲームのBGMはインターネット上のロイヤリティフリーの楽曲で賄おうと計画していましたが、雰囲気に合う曲がなかったり、単純にクオリティが低かったりして、有料無料を問わずネットから調達できる楽曲だけではダメなことが分かりました。
そこで、我々はユーザーコミュニティから募集する方針へ変更しました。
ご存じの通り、プレイ中に流れる素晴らしい楽曲はほとんどユーザーコミュニティから寄せられたものです。
そして現在、効果音についてもユーザーコミュニティの協力を得たいと思っています。
現在のゲーム中の効果音はいずれもチープなものが多く、クオリティアップを求める声が多く寄せられました。


Q: ランダムエンカウンターシーンが単調でつまらないのですが?

R12でのエンカウンターシーンの導入は技術的な試験のために導入されています。
現在はエンカウンターシーンに導入されるコンテンツが用意できていないので、ただ敵が出てくるだけの味気ないものになってしまっています。
将来的にはキャラバン隊とモンスターが戦っているシーンに遭遇したり、レアなリソースが出現するエンカウンターマップ専用のシーンが用意されるなど、コンテンツリッチなものになります。
また、将来的にエンカウンターシーンには他のプレイヤーも進入できるようになります。エンカウンターシーン内で他のプレイヤーと協力や対立するなど、コミュニケーションの場の役割も与えられるでしょう。


Q: 今後プレイヤーハウスが増え内部のアイテム数が増加していくと、ゲームパフォーマンスが低下してしまうのでは?

マスターサーバーから受け取る様々なデータの更新レートを建物や動物といったカテゴリ毎に見直し、クライアントの負荷を軽減できるように調整していく予定です。


シングルプレイヤーとストーリー


・SotAの前史小説"Blade of the Avatar"にエクストラチャプターの追加が決定。さらに出版社から一般のファンタジー小説として出版されることも決まりました。

・追加チャプターは2冊構成で、1作目のものと合わせて三部作になります。現在、追加チャプターの完成時期は未定となっています。

・追加チャプターの内容は前史からゲーム導入部分までを埋める内容になるでしょう。

・Ultima6~9では現代社会が抱える問題をストーリーに織り込んできましたが、SotAでもそのスタイルを踏襲し、人間社会の問題と徳の概念を複雑に織り込んだものになります。

・シングルプレイヤーのストーリーラインは、シングルプレイはもちろんマルチプレイでも進行させることもできます。さらにそのエンディングはプレイヤーごとに違ったものになるでしょう。

・SotAのエピソード1では、徳の3原理"真実・愛・勇気"にスポットがあたります。Ultimaでは徳のもっとも基本的な3つの原理として設定されていますが、Ultimaをプレイしたことのないプレイヤーにスムーズに徳の概念を理解してもらうため、エピソードの順をおってストーリーと徳の概念を理解していけるように作っています。

・Ultima4では比較的正解の行動が分かりやすかったと思いますが、SotAの入り組んだストーリーでは、それを判断するのは非常に難しくなっています。
その場その場の選択で正解を導き出していくスタイルではなく、また正解もその場では明かされないでしょう。
すべての行いは後になってから"カルマ"のように自分の身に返ってくるデザインになっています。

・NPCとの関係も、アバタールとそのNPCという一対一の関係だけではなく、そのNPCが所属するコミュニティグループとの関係も影響してくるでしょう。
いわゆるベストの行動というものがなく、同じ行動であってもその時の状況によって結果が変化するようになっています。
さらに5%のキャラクターは反逆的な性向をもっており、敵対するたびによりクレバーになっていくでしょう。

Q:このゲームのストーリーにはどんなメッセージが込められていますか?

トレーシー・ヒックマン:(以下TH)
ゲーム中の各ストーリーすべてにゴール(伝えたいこと)を設定できたつもりです。
ストーリーの源泉は常に我々の日常生活の中に、とりわけ現代社会の生活における問題から見つけることが多いですね。


Q: SotAのストーリーを手がける際に大変だった箇所はありますか?


TH:
私はファンタジー小説家ですが、私のストーリーを実際のゲームへ落とし込む作業は非常に新鮮な感覚を覚えました。
ストーリーを語るにあたり、小説とゲームでは作法がまるで違うんです。
スコットにはストーリーをゲームへとコンバートする作業において、ゲームプレイヤーとしての経験や心得についてアドバイスをもらいました。


Q: ベンダーNPCのダイアログパターンは他のキャラクターより少ないのですか?


スコット・ジェニングス(以下SJ):

確かにベンダーNPCのレスポンスパターンは他のNPCより少ないです。
一般的なベンダーNPCはトーリーに関係する単語のレスポンスを少なく設定しています。

Q: ストーリー部分におけるDarkstarrの役割を教えてください


リチャード・ギャリオットとスター・ロンが相互に影響しあってゲームを作っていくように、ゲーム世界でのロード・ブリティッシュとダークスターは、考え方こそ違うけれど互いを認め合うライバルのような関係にあるといえるでしょう。
ニューブリタニアの世界にも様々な主義主張があり、それらすべてが互いに影響しあってバランスを形成しているのです。
そういった各勢力のバランスの中で人間性がどう描かれるのか、というのがストーリーのテーマのひとつとなっています。

Q: 追加のチャプターはどういった内容になるのですか?


一作目のBlade of the Avatarはオブシダン軍のガードであるアレンの物語でした。
二作目の内容はその世界での各出来事がタペストリーのようにつながった、より包括的な世界観を描く内容になるでしょう。


Q: ニューブリタニアでは月の衝突がきっかけで従来の魔法が失われてしまったそうですが、SotAの世界での魔法とはいったいどんなものなのですか?

RG:
魔法にはフィクションとしての要素とゲームシステムとの両方の機能を担ってもらっています。
ゲームシステムにおけるマジックは従来のUltimaでの役割と同じものになるでしょう。

従来のUltimaシリーズでは、魔法は天文学や天体の条件と関係がありました。
Ultima5のシャドーロードの出現条件も天体の状況が影響していましたね。
数霊術・占星術・天文学といったものとブリタニアの魔法は切っても切れない関係にあるのです。

しかし、月の衝突により天体の仕組み自体が変わり、積み上げてきた魔法の体系がすべて通用しなくなってしまった。
これは我々の感覚からいえば、化学を1からすべてやり直すようなものです。
我々が前提としている科学的事実の一角が崩れてしまえば、他の自然科学の分野すべてに影響が及ぶのと同じことです。

しかし、月の衝突によって魔法が消滅したわけではありません。
あくまで前提条件が崩れただけなので、また1から体系を組み上げていけば魔法の技を再構築することは可能です。
ニュー・ブリタニアの魔法の系統や必要な秘薬が従来のものと違うのは、こういった理由があるからです。


Q: T・ヒックマンの代表作であるドラゴンランスと作風に共通点はありますか?

TH:
まず、ドラゴンランスは善・悪・中立(カオス)の3つの勢力が登場しますが、勧善懲悪ではなくそれらのバランスによって物語が成立しています。
SotAでもロード・ブリティッシュ、ダークスターといった勢力があり、プレイヤーはいずれかの勢力をフォローすることもできるし、自分の考えだけを頼りに道を進んでいくこともできます。
いずれにせよ、あなたの選んだ選択肢すべてがあなただけのSotAのストーリーを紡いでいくことでしょう。

RG:
エピソード1では非常におおまかにいえば、オーダー VS イビル(Obsidian)の構図があり、中立としてカオスの勢力が存在します。
しかし、エピソード1を終える頃にはさらなる勢力が登場するでしょう。


Q: SotAのストーリーラインを実際のゲームへと組み込む作業は、かなり大変だったのではないですか?

SJ:
オウルズヘッドには早期からクエストが実装されていますが、そのうちのひとつは容易にクエストを完遂することができません。
これは単純に解決を急ぐだけではダメで、一連の根回しというか、各NPCを説得していく過程が必要になるんですね。
そこで私はそういったNPCの説得という部分に徳の概念とシステムを絡めていこうと思いついたんです。

RG:
ゲームへの没入感を高めるために、SotAではNPCの頭上の"!"マークやマップ上のクエストマーカーを廃止するデザインを決めました。
これをやってしまうと、プレイヤーはストーリーよりマーカーを追っかけるだけの作業に夢中になって、会話の内容がすっかりお留守になってしまうんですね。
それでいてプレイヤーを迷わせずに、かつやるべきことを忘れさせないようにデザインを頼んだんです。これは注文した当の本人も思うのですが、非常に難しい条件だと思います。


Q: ファンフィクションのライターは設定資料集を閲覧することはできますか?

TH:
30年間小説を書いてきましたが、設定の矛盾やストーリー上のつじつまが合わない部分がでてくるのは避けられないことといっていいでしょう。
ファン達は矛盾点を解決するべくオンライン上で様々な推論を戦わせていますが、当の作者の設定自体がおかしいということもあるわけです。
後のストーリーへつなげるために、作者自身が内部設定資料や作品の年表を改変したりしてるんですよ。
これは常に勝者が歴史を作ってきたのと同じことで、実際の出来事と歴史書に記されていることが違うのと同様の問題だと思っています。
例えば中国の歴史書と中央ヨーロッパの歴史書では、同じ出来事でも違う視点で捉えられていますよね。さらにアフリカのモザンビークの一般的な歴史書ではもっと違う視点でその出来事をみているかもしれません。
同じ人物が一方では英雄で、一方では悪党ということも十分あり得ることです。
私がファンと作品について話すときも、ファン達の視点が自分と違うことを意識させられることが多くあります。
SotAのストーリーや設定は、多くの人が納得してもらえるような形に落ち着くようにデザインを心がけています。

実はエピソード1の結末によって、エピソード2からのストーリーラインが変化する可能性があります。
その時の路線変更のために、ストーリーに関しては厳格なバックストーリーを決めてそれを厳守するという開発スタイルにはなっていません。
もちろんエピソード1の行動によって、エピソード2以降物語を進行させることができなくなってしまう、ということはありません。
また、このストーリーの分岐は、プレイヤーにとって大きな意味をもつでしょう。


Q: "真実・愛・勇気"の3原理はUltimaと同じものなのですか?

RG:
はい。パプリックドメインなので権利関係も問題ありません。
この3原理の出展はオズの魔法使いです。
カカシは真実を、臆病なライオンは勇気を、ブリキ男は愛をもとめていましたね。
そもそもUltima4で確立した徳の概念は、哲学的な思索の末にたどり着いた結論というものではなく、あくまでゲームシステムの為に私が考え出したものなんです。
そしてSotAの世界でも、もっとも基本的な徳の原理であることに変わりありせん。
この三つの原理を極め、オブシダンなど各勢力の目的を知ることがエピソード1の目的になるわけです。
この時、あなたはオーダーやカオス、オラクルといった各勢力と同調するかどうか決めることになりますが、この選択はきっと後のエピソードの展開を左右することでしょう。
エピソード2ではさらに徳の細部へと踏み込んでいくことになります。

お約束ですが、今回のディープダイブでいったことや仕様は今後変更される可能性があることを、最後に付け加えておきます。

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